今シーズン最後のカヤック_錦川(宇佐川)

四万十川カヤックツアー後,参加者の1人だった I さん(3年前の初めての四万十川ですっかりカヤックにはまり,自艇を購入してしまった女性)が「今シーズンはこれで最後なのかなぁ・・もう1回,カヤックをしに行きたい・・」と言いました.それを聞いた私も,四万十川で不完全燃焼だったため「じゃ,行きましょう!」となり,週末に行ってきた.場所は山口県錦川(錦帯橋で有名)の上流部に流れ込む支流”宇佐川”.

今回お世話になったのは 山口アウトドアスポーツネットワーク
http://ww5.tiki.ne.jp/~hiro_outdoor/

HP には”秋の色濃い清流宇佐川下り初心者向け編”と書いてあった.だが,HP の写真を見る限り,決して穏やかな流れでないことは一目瞭然.障害物(岩)の出現頻度も,落差もかなりありそう・・でもツアー主催者の和田さんの言葉を信じ・・これが間違いだった.
錦川を遡るにつれ,みんなの表情(男性2名,女性2名)がこわばってくる.宇佐川に入ってゴール地点と言われた場所からは,少なくとも数十センチの落差が何段も続いているような瀬が見える.ここを下ってくるのか?!
ウェットスーツ(レンタル)に着替え,スタート地点に着いた時には既に諦めの境地に入っていたのかもしれない.前日からの寒冷前線の張り出しにより,気温は10℃以下.川の水はとても冷たい.が,水は澄んでいてとてもきれい!2M 程の短いカヤックに初めて乗り込み,スプレースカートを着け(これも初めて!),最初の淵までカヤックで川を滑り降りる.難しい・・カヤックの操作が今までと違う.まっすぐ前に進めない.思ったように曲がらない.こわごわとカヤックに慣れるためにいろいろと試していたら,一緒に来た T さんが沈!なかなか浮かんでこない.大丈夫か?と思った頃にやっと沈脱して浮き上がってきた.スタッフの人がここは沈するところではないのに・・と心配そうに言っている.が,本人はそれどころではなかったらしい.慌てていてスプレースカートを外さなければならないことをすっかり忘れ,しばらくもがいていたらしい.しかも,その時に鼻から大量に水を吸い込んでしまったようで,鼻は痛く,耳まで水が入り込んでしまう.冷たい水に浸かってしまったため,体も大分冷えている.この事件(?)のおかげで,私は沈脱練習をやめてしまった.これが,後ほど苦しい思いをする原因となることも知らずに・・.
今回はカヤックツアーに参加する形で宇佐川下りをすることになっていた.スタッフは和田さんを含めて4名(3名はボランティア?).参加者は私たち4名と経験者1名,初心者1名の総勢10名での川下りツアー.この川でこの人数はかなり多いように感じられたが・・でも,スタッフが多いのは心強かった.
10時半過ぎ頃に出発してすぐに,体験したこともないような瀬が連続して現れた.私以外の3人は昼食場所に到着するまでに何回か沈をしていた.もう,笑うしかない!和田さんはしゃいでいる.K さんと2人していろんなプレイを楽しんでいた(私にはカラスの行水のように見えた!).私たちは川の様子を見る余裕すらほとんどないのに・・.が,思っていたより苦しまずに私は瀬をクリアできていた.1度だけ岩に張り付いてしまい,スタッフの人にカヤックを動かしてもらうことになったが,それ以降は沈もせずになんとか下っていた.が,全体としては沈する人が続出だったため,それほどの距離はなかったはずだが,昼食場所に着いたのは12時頃になっていたと思う.
着いた場所で少し川に浮かび,水のきれいさを堪能した(でも寒かった!).和田さんが作ってくれたきのこスープで温まり,和風リゾットでお腹を満たした後,再び午後の部スタート.このときも和田さんは「もう,たいしたことないよ.1つ大きなところがあるけど・・」これも,嘘だった!(私たちにとっては).
その後も瀬が次々と現れ,瀬〜エディ〜瀬〜エディ・・とひたすら続いた.一か所だけ渓谷のような風景のところがあり,そこだけはほんの少しのんびりすることができた.が,その後の瀬で乗り越えた!と思った直後,エディに入る時にバランスを崩して沈してしまった.考える間もなく逆さになりプチ(?)パニック状態.スプレースカートを外すことなど全然思い出せず,ただただ,水の中でもがいて苦しんでいた.一瞬だけ和田さんの声が聞こえ,もう少し我慢すれば助けてもらえる・・その一心で息を止めていた.やっと顔を水中から出すことができた時は本当に助かった!と思った.和田さんのサポートは本当に頼もしく,この後もみんな大変お世話になった.・・が,スプレースカートを外せない自分が悪いのだ.
その後の瀬もなんとか(私は)クリアすることができた.そして,難関の瀬(落差 1M くらいの滝?)が現れた.1人ずつ順番に突入していく.私の番が来た.瀬の直後の大きな岩の上で和田さんが叫んでいる.「漕げ,漕げ,がんばれぇ〜!」カヤックを流れから外さないようにしながら漕いだ.滝を落ちる.顔に水しぶきがかかり,腰よりも上まで水に沈む.ふわっと浮かび上がってきた・・と思った瞬間,複雑な流れに飲み込まれカヤックが横向きになる.そしてあっという間に再び沈!そして今回も沈脱ができず・・和田さんに助けてもらうことになった.今回は水深も深いところだったので,和田さんも大変だったはず.申し訳ありませんでした・・.私たちのメンバーでこの滝をクリアできたのは1人だけでした.
この後はさすがに,和田さんか K さんがいないところでは瀬に入るのを躊躇していた.また沈したらどうしよう・・?沈脱できなかったらどうしよう・・?という不安でいっぱいになった.が,この滝の直後の瀬で T さんが痛恨の再沈!体が冷えきって震えが止まらなくなったため,低体温症になりかかっているだろうとの判断で焚き火を起こし,ここでリタイアすることになった.そのため,スタッフの一人がここで一緒に待機することになる.スタッフの数が減ってしまったので,私もなんとかがんばるしかない.もう2度も沈したのだから,次こそは落ち着いて沈脱するぞ(ちょっと弱気)と自分自身に言い聞かせながら,もうすぐそこと言われたゴールまで(結局は瀬が残り4つくらいはあったはず!?),なんとか漕ぎ下ることができた.沈脱ができなかった悔しさもあり,ゴールしたら練習をしたいと思っていたのだが,T さんを待たせているということもあり,結局沈脱することができなかった.これは本当に残念.次回のカヤックツアーでは必ず沈脱練習をしようと心に決めた.
辛いことが多かったように思えるツアーだったが,でも,最後は瀬も楽しめるようになっていた.沈脱さえできれば!と心残りがあるので,来シーズンも宇佐川ツアーに参加するかも.
カヤックツアー終了後,乾いた衣服に着替え,六日市 IC (中国自動車道)近くの温泉で疲れを癒したら,充実感と満足感と,悔しさが入り交じり,でも,今シーズンは十分楽しんだ!と納得することができた.もちろん,今回のツアーに誘ってくれた I さんも,満足(?)できたようだった.次の日は,今までのカヤックとは違い,体中のあちこちが筋肉痛で痛くなっていた・・.